生成AIを使う人と使わない人のギャップを埋める:今すぐ始められる実践的活用法
一応、生成AIの導入を推進している立場なのですが、職場や友人との会話で生成AIの話題が自然に出てくることが増えた一方で、「生成AIは凄いと思うけど、実際にどう使えばいいかわからない」という声も依然として多く聞きます。
この記事では、生成AIを使えずにいる方々の悩みと、それを解決する具体的なアプローチについて共有したいと思います。
生成AIを使わない理由として多く聞く声
生成AIを活用できていない方々から聞く悩みには、共通点があります:
使い道がわからない
凄さは理解できるものの、具体的にどんな場面で活用すればいいのかイメージできない。
プロンプトが難しそう
効果的な指示の出し方がわからず、技術的なハードルが高く感じる。
ツール選択に迷う
ChatGPT、Claude、Geminiなど様々なサービスがあり、どれを選べばいいか判断できない。
品質への不安
AIが作ったものが期待通りでなかった場合、結局自分でやり直すことになるのではないか。
これらの不安から「使うならちゃんと使いたい」「失敗したらどうしよう」という気持ちが生まれ、最初の一歩を踏み出せずにいる方が多いようです。
完璧を求めずに始めることの重要性
私からお伝えしたいのは「細かいことは気にせず、まずは使ってみてほしい」ということです。
実際のところ、プロンプトやモデルの種類をそれほど意識しなくても、現在の生成AIは十分に高い精度で応答してくれます。例えば、私は最近音声入力でAIに指示を出すことが多いのですが、音声認識で多少の間違いがあっても、AIは文脈を理解して適切に回答してくれます。
また、プロンプトの書き方やモデルの選び方がわからなければ、ChatGPTに「効果的なプロンプトを作って」「どのモデルがおすすめ?」と直接聞けばよいのです。技術は日々進化しているため、完璧な知識を身につけてから始める必要はありません。
重要なのは、準備するコスト(学習時間や準備作業)が得られる成果を上回らないようにすることです。まずは実際に使ってみて効果を実感し、慣れてきたら知識を深めていけばよいでしょう。
低学習コストで効果を実感できる活用法
ここからは、具体的な手順とともに、誰でも今すぐ試せる活用方法をご紹介します。
1. Gmail:Geminiで秒速メール作成
メール返信に悩む時間を劇的に短縮できます。「なんて返事しよう…」と考える必要がなくなり、適切な文面を瞬時に生成してくれます。
操作手順
- Gmailで「作成」をクリック(または返信したいメールを開く)
- 本文欄下部の「文書作成サポート」をクリック
- 入力欄に「返信文を考えて」など、目的を1行で記入
- 提案された返信内容を確認し「挿入」をクリック
- 必要に応じて文言を微修正して送信完了
※この機能はGoogle Workspace Business Standard以上またはGoogle One AI Premiumプランで利用可能。組織アカウントの場合は管理者がGeminiの機能を有効化してある必要があります。
2. NotebookLM:難しい資料を”ながら聴き”で理解
国の補助金資料や法律文書など、疲れているときに読むのが辛い文書を、ポッドキャスト感覚で理解できるようになります。2人のAIナレーターが会話形式で内容を噛み砕いて解説してくれるため、難しい内容が驚くほど頭に入ってきます。
操作手順
- notebooklm.google.com にアクセスしてログイン
- 左上「+ 新規作成」でノートブックを作成
- 画面に従って、PDF、Googleドキュメント、URLを追加
→この時点でアップロード資料に対して返信するチャットボットが完成 - さらに右側「Studio」の「詳細な会話」欄にある「生成」ボタンをクリック
- 数分待つと、2人のAIナレーターが会話形式で要点を解説する音声が完成
※無料プランでも回数制限付きで利用可能。
3. Slack/Chatwork:長いやり取りを”要点だけ”瞬時に整理
「この会話結局何をすればいいんだ」という状況を解消できます。往復したやり取りを要点に整理し、状況把握が劇的に楽になります。
操作手順
1. まとめたいやり取りをコピー。
2. ChatGPTなどのチャット欄に貼り付け、体裁などを整理せず、最後に数行開けた後、「この会話を要点だけ箇条書きでまとめて」と記入
※「決定事項だけ抽出」や「経営陣向けに200字以内」など、フォーマット指定することで精度が向上します。
4. ChatGPT:プレゼン用”ぴったり画像”を生成
「ここになにか埋めたい」という悩みを解決します。スライドの文脈を理解して、内容にマッチした画像を自動生成してくれるため、フリー素材探しの時間が不要になります。
事前準備
・DALL·E 3が使えるChatGPTプランにログイン
操作手順
1. 画像を挿入したいスライドのスクリーンショットを撮影
2. ChatGPT画面左下から画像をアップロード
3. 「この空白を埋めるフラットイラストを生成して」と依頼
4. 画像をダウンロード
5. ダウンロードした画像をスライドに貼り付けて完成
※スクリーンショットなしでも「青基調・業務効率化を象徴するイラストを16:9で」と直接依頼可能です。生成後も「背景透過に」「もっと明るく」などの調整指示で即座に再生成してくれます。
まとめ
生成AIの活用において最も重要なのは、まず便利さを実感することです。使っているうちに、コツは自然と身についてきます。日常の簡単なタスクでも、あえて生成AIを使ってみることで、新たな発見があるでしょう。
完璧を求めず、気軽に試してみる。それが生成AIと上手に付き合う第一歩です。技術的な詳細は後からついてきますので、まずは一歩踏み出してみることをおすすめします。

記事を書いた人
中薗拓巳 / 取締役
九州大学大学院を卒業後、株式会社東芝に入社し自社製品のクラウドサービス化を担当。その後、フィリピンでオフショア事業を立ち上げ、CEOとして現地のエンジニアチームを指導しながら複数の開発プロジェクトを手掛ける。株式会社ORGO入社後、技術・グローバル事業の統括を行う。